【編集~フォーマット~】プロも認めるテレビ風な動画編集の教科書

いわてふぁん
現役地方テレビ番組の「編集」をしている私が解説します!

【プロも認めるテレビ風な動画編集の教科書】


Step.1「撮影」
Step.2「編集〜カットを繋げる〜」
Step.3「編集〜フォーマット〜」
Step.4「BGM」
Step.5 「テロップ」

Step.6「SE(サウンドエフェクト)」
Step.7「エフェクト」

納品形式をしっかり把握しよう

メディアで納品?データ形式は?

動画の納品形式って「.mp4」なんじゃないの?

YouTubeなどの動画は基本的に「.mp4」で間違いありません。

しかし、テレビ番組は「.mxf」か「.mov」、「メディア」での納品が多いので、クライアントから納品形式をしっかり聞きましょう!

なぜ、テレビ番組は上記の形式で納品するのか?

それは、「.mp4」が“圧縮されたデータ”だから、「撮影や編集でよく使われるデータ」だからです。

“圧縮された”とは、簡単に言うと“画質が荒く、データが軽い”です。

納品するデータは高品質なもので!

ぱっと見では画質の荒さは分からないレベルですが、mp4は実は質が少し落ちている状態です。

もちろん、書き出し時の設定(ビットレートやコーデック)でも変わってきますが、PremiereProやiMovieなどの「YouTube」書き出しでは荒めの圧縮になっています。

テレビ番組では一番良い状態の映像をクライアントに届けたいので、「.mfx」や「.mov」などの“非圧縮に近い”データを使用します。※厳密には圧縮されています。

「非圧縮」とは、現場で撮った映像データそのままの状態(画質を落としていない)のものという認識で良いでしょう。
※カメラの設定で圧縮されて撮影する場合もあります。

音声のプランが設定できる!

また、上記のファイル形式で納品する理由として、「音声プラン」を設定できるメリットもあるからです。
.mp4は音声を2チャンネルまで設けることができません。しかし、.mxfや.movなどは、8チャンネル以上音を割り振りできます。
この後、音声プランの話をしますが、「白素材」という動画データも納品することが多いので、音声にチャンネルを振り分けられる利点が大きい形式が望ましいです。

個人で動画編集の仕事を受けたら、まず「納品データの形式は?」としっかり聞きましょう!

完パケ、白素材を作れるようになろう

完パケ(黒素材)・白素材とは?

完パケ・白映像ってなんか聞いたことある!

テレビ番組の納品映像には「完パケ」「白素材」と呼ばれるものがあることをご存知ですか?

完パケと白を簡単に説明すると以下の通り!

【黒素材(完パケ)】
映像・現場音・テロップ・CG・BGM・SE(音はすべてステレオ)などすべて合体したデータ
【白素材】
映像・現場音・BGM・SE(音はモノラルで振り分けられている状態)と分解できるデータ

※BGM・SEはステレオ設定でもよし

いわてふぁん
この知識があるだけでも「プロだ!」と思わせられる!

なぜ「完パケ(黒素材)」・「白映像」が必要?

「完パケ」は分かるけど、「白」って必要なの?

「完パケ」に関しては、放送するための映像なので説明しなくても大丈夫でしょう。

 

ではなぜ、「白」が必要か。

理由は、「納品した後に放送局側が修正できるから」、「記録用の映像素材になる」です。

 

「白」を使う例を一つ。

1.  O.A(オンエア)直後に、テロップミスが発覚!
2.「ミステロップだけ消す」対応をしよう
3.「白」を被せて間違いを消す

動画編集をしたことがある方は分かると思いますが、一度書き出したデータは自由に変更できません。
間違ったテロップを修正したいと思っても、書き出した映像を塗り替えることはできません。

ミスがあった場合、もう一度編集アプリを開いき、直した後にまた書き出し。。

そのような時間がない時に「白映像」が役に立ちます。

 

つまり、急ぎの修正や、動画製作者ではない人も修正ができる素材データなのです。

もちろん映像の差し替えだけではなく、音声も修正可能です。

 

放送間近で修正をしないように、念入りにチェックをして納品しますが、人間が制作している以上ミスは必ずあります。

ほぼ最終手段用データですが、“間違ったものを放送しない”ために「白」は必要なのです。

白の作り方

「映像」
・テロップなしの映像
「音声」
・1ch「メイン音」パンをL(左)
・2ch「ノイズ音」パンをR(右)
・3ch「BGM」パンをL
・4ch「BGM」パンをR
・5ch「SE」パンをL
・6ch「SE」パンをR

【Premiere Pro】

※ユーザー数が多い編集アプリなので、今回はPremiere Proの白素材の作り方を解説します。

1. 完成したシーケンスを「複製」。
2. テロップを消す。または、ミュートにする。
3. シーケンス上の音声を整理する。(メイン、ノイズなどを振り分ける)
4. 「オーディオトラックミキサー」でパンを変更。
5. 書き出し。※オーディオは6ch以上に設定!
※修正「5A(5ch)SE(R)」➡「6A(5ch)SE(R)」

番組フォーマットを理解しよう

YouTubeなどの動画はShowTime(ショータイム)から書き出して納品することが多いと思います。

しかし、テレビ番組は「カラーバー」や「クレジット」、「ステカット」と映像に入れなければならないカットがあります。

いわてふぁん
YouTubeは「本編」だけ納品しているイメージ。テレビ番組の納品映像には「本編」以外の付属する映像をつけています!

今回は「テレビ番組」の基本的な納品フォーマットを説明します!

※CMのフォーマットは別の機会に解説します。

 

テレビ番組では黒・白ともに以下の映像を差し込んだものを書き出して納品します。

1.カラーバー
2.番組クレジット
3.前ステカット(3秒)
4.本編映像
5.後ステカット
※CMを挟む番組の場合、3〜5が連続します。

基本的には以下のようなシーケンスの形になります。

例)7分尺番組

CMを挟むの場合は…

例)1時間(54分尺)・CM(2分)×3本入る番組

ステカット3秒ってなんだ?

テレビ番組での「放送事故」とされるものはいくつかありますが、その中でも「黒だけ」もその一つ。

ステカット3秒はCMを被せるときに、最悪CM映像がうまくのらなかった時の余白として必要な部分なのです。

(現代のシステムではほぼ事故がですが、ステカットをつける文化がまだ根付いている状態です。)

 

テレビ番組の基本フォーマットを詳しく知りたい方は、「民放連(日本民間放送連盟)」に、日本中のテレビ局や番組制作会社が使っている情報が記載されているので参考に。

https://www.j-ba.or.jp/category/references/jba100805

地方から〜

目次 1 映像業界出身にオススメの転職サイト2 映像業界にいた強み3 映像系に強い転職サイト3.1 【マスメディアン】3…

まとめ

非常に簡潔に解説していきました。

テレビ番組は、面白い映像を作るだけでなく、間違っている場合も考えた「準備」も万端にした状態でデータを納品しています。

YouTubeの映像も同様。納品後、急遽の修正や、過去の映像を使用したいときに編集しやすいデータがあると便利でしょう!

 

今回紹介した知識はプロの業界では当たり前の内容となっているので、「そういえば聞いたことあるな。。」と思えれば、すぐに何が分からないのか調べることができます。